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クラウンノナミダ。

クラウンは正直になれない。だから、おどけ、ふざけ、笑われようとする。不器用な小心者のねじれた日常。

名実ともに仲間入りした唯一の瞬間

社長に予定より早く呼ばれた。
早く呼ばれて良い事を言われた試しがなかったから、嫌な妄想ばかりがよぎった。

「やっぱりレギュラー辞めたいんだけど。」
「本人達との直接のやりとりやめてくれない?」

とにかく悪い事ばかり過ぎって前日の夜から胃が痛かった。



・・・結果から言うと、関係者で来てくれとの申し出だった。



・・・・・はい?



・・・・・・遅くないか?
・・・・・・・遅すぎるね?
それ、1年前に言うべき事だよな??

向こうの言い分は「アナタはお金を落としたいだろうけど」だった。

いやいやいや、そうだったとしても招待しますからって押し通すのが、お世話になってるそちらの示す態度でしょうよ(苦笑)

何、お金落とさせてきたんだよ。


ちなみに、あとでわかる事だが、その落としていたお金の数%しか本人のもとに渡っていないことが判明する。応援している人には口が裂けても言えない。あれだけ客にお金使わせておいて、本人に入ってないお金が存在するなんて…どんだけだ。やはり黒すぎるぜ、業界。


話を戻そう。


恐らく向こうは、いち地方人の俺が年に数十回と通いながらレギュラーの仕事を継続させるなどと思っていなかったのだろう。こっちは往復最低2万で顔出して、ついでに仕事もして帰ってる(自腹)ことなんてオープンにしてるわけで、「もう、チケ取らないでいいですよ、今度こんなライブがあります、どうぞお越し下さいね」と言うのが筋じゃないかとは思ってはいた。驕る気はないけれど、誰よりも貢献してる関係者だという自負はある(苦笑)こちらも言われないならと意地になっていた部分もあるが。

言い出せなかったのにも理由がある。それを向こうも知らないとは言わせない。

俺がもともと長年のファンだからだ。

だから、こちらから申し出出来なかったのである。だって、もともとファンで、関係者になって、どんな公演もホイホイ行かせてもらうなんて虫がよすぎるだろ?そんな軽いヤツだと思われたくなかったし、同じファンが見て、コイツそのために近づいたのか、などと思われたくはなかったから。


しかし・・なぜ急に言い出したのだ。


昨夜のライブ後の動きが気になった、というような話だった。まぁ、簡単にいうと、客で入ってる人間が楽屋に入るのは、知らない人が見たら変に見えるということだった。こっちは顔パス程に皆さんに認知されてて、それいうか。


じゃぁ、最初から招待してれば何の問題もないだろとこっちとしては思ったけど、ぐっと飲み込んだ。
もともと招待してくれ、なんてこちらから言えるわけがないんだから、チケ買って入るしかなかったじゃないか。


「異性のファンが大半じゃないですか。」
『・・・そうですね。』
「いろいろと勘違いされても嫌じゃないですか」

それ、今、言う?

こちらは嫌ってほど気を使ってきた事を、今、言う??

同じ話を3回くらい繰り返して、もう、もうわかりましたから!!ね?と強引に終わらせた。そんなの言われなくても、胃に穴が開くほどには気を遣ってきたことだ。

貴方たちが、お客さんが異性であることを意識しなさすぎたよ、この1年、と思う。

***

数ヶ月前、レギュラーを辞めたい云々で軽く揉めた時に、1人のスケジュールが無理なら、もう1人だけでやるのはどうかと持ちかけられた。それは最悪のパターンで。でもなしでは無いですよ、と言った時に、社長はこう言い放ったのだ。

ウチに新人の異性の子が居るんで、アシスタントにつけるのもいいんじゃないですかね。

・・・はい?

何言ってるんですか?!と正直に叫んだよな。ファンが異性だらけなことはご存知ですよね?これからって大事な時に、相方がおやすみでその代わりに誰かわからない異性の新人がつく!?ありえないです!!!ファン減らしますよ!!?と。

あれを提案する人が俺に忠告できるようなアレではないと思う…。

***

機材の確認をして、あとは楽屋で待機。

レギュラーの収録。

やはり、目の前で打ち合わせして台本を前にして仕事すると内容の充実がはんぱない。良い。離れていることそのものがネックだなと思った。

昨日、チケ買ったしなと、半券でサイン貰える日だったなとお願いしたら、弟に苗字をガチ間違いされた(笑)嘘だろ!?(笑)多分、漢字が書けなかったんだ。なんていうか、ほんと、天然がひどい(苦笑)

楽屋は、レコ社の社長のおもてなしもあって、和気藹々だ。まったりした空気が流れる。


あぁ、関係者という立場でここにいるだけで、こんなに変な気を張らなくてよいのかと、心底ほっとした。これが半分客だと、とんでもなく気を遣うのである。

仕事スイッチも入れられた。これが一番気が楽だ。

イベントも無事終わった。

客視点は一切ないが、それで良かった。

軽い打ち上げな雰囲気で皆で談笑した。

まさかコレが皆との最後になるなどと、思ってはいなかったが・・・

弟がトークイベントに行くのを知っていたから、後に自分も予定を入れていた。
え、どこ行くの?と弟。いや、じつはみりんぼしのライブに、というと、ええ!?と驚かれた。あぁ、アイツも来年大きな舞台だったな(笑)と笑われた。すみません。

兄さまとは、あまり話さなかった。一応、翌日別で会う予定を入れていたから。


みりんぼしのライブにタクシーを走らせた。


ライブ後、久しぶりにお邪魔できましたというと「お仕事大変そうですね、頑張って」と言われ、ポカン・・・。なぜこちらでまで俺は仕事人間という認識なのだ。



結果、充実した1日となった。

なにより、名実ともにクルーの仲間入りができたのだと思い、ほっとした。


それが数日うちに暗雲立ち込めようなどと、誰が予想しただろう。

束の間の安心であった。